第49章 【一松ルート】マイナス端子の恋
「あのね、私ね・・・この前一松の家に行ったでしょ?あの日に実は皆の事が男の人に見えて一瞬怖いと思ったけど・・・あれからずっと意識しちゃってて」
言われてる言葉に一松は瞠目し無言でナス子の目を見返す。
やはり、自分達の想像は当たっていたのだ。
だが、その意識と言うものがナス子にとってどちらに転んでいるのかはわからぬまま、次の言葉を待つ。
「それから一松が家にぱったり来なくなったから、嫌われたんじゃないかって心配になって・・・怖くなって、それで・・・」
「・・・・え?」
まるで誰かの想いを聞いているようだった。
どこかで聞いたフレーズ。
━━━━━━そう、自分だ。
まさかナス子が自分と同じように嫌われたんじゃないか、怖くなったなとど考えているとは思っておらず、一松は目だけでなく口までポカンと開けた。
「他の皆は家にそれぞれ遊びに来るのに、いつもは当たり前のように一緒に居てくれた一松だけいなくて、それが、それが凄く寂しくて・・・・・・えーっと・・・」
一松はナス子のあまりの発言に脳が追い付かず、必死に考える。
・・・そんなハズはない、とずっと頭と心で否定する自分が邪魔をして、最早期待する事自体諦めようとしていた自分がまた顔を出しそうになるのを必死に抑えていた。
「一松?聞いてる??」
「あ、ああ・・・ごめん、なに?」
それがバレないように無表情に戻り視線を下に向けると、ナス子の膝で握った拳が震えているのが目に入った。
「・・・・・・・・・」
そんな動きにつられ、何故だか自分の手まで震え出す。