第49章 【一松ルート】マイナス端子の恋
「わっ、ちょっと!半裸にならないでよっ」
途端ナス子が顔を赤くし、まるで女性のような仕草で目を逸らす。
その表情を訝し気に見ながら、一松はナス子に近づいて行く。
「はぁ?何今更言ってんのお前・・・別に俺の半裸なんてもう何度も見てるでしょ」
「い、いやぁ・・・でも、そのっ!今は見れなくなったって言うか」
「なにそれ、意味わかんないんだけど」
不思議そうにナス子に更に近づくと、ナス子は一松の身体を強く押し返しながら俯く。
「ちょ、ちょ、ちょ、待って!今は待って!!ステイ!」
「・・・?」
ナス子の反応がおかしい事に気づくと、首を傾げて壁にもたれかかって座った。
その正面にはナス子が緊張した面持ちで視線を泳がせながら正座で座っている。
「あの・・・一松・・・さん・・・・・・」
「なに?」
「聞いて欲しい事があるのですが、よろしいか?」
「・・・なにその喋り方」
いくら公園であんな事があったからと言っても、帰り道の様子からして別におかしい事はなかった。
なのにマンションについた途端、ナス子の様子がおかしくなった事に一松はボーっとしてナス子の顔を見る。
本当はさっきのように抱きしめたいと思う自分もいるが、今の自分の恰好のまま抱き締めてしまったら一体どうなってしまうかと想像すると、心の中が壊れそうになった。
「もしこれを聞いて嫌だとか気持ち悪いだとか思ったらすぐ言って?!頑張って直すから!」
そういうナス子は意を決したようにまっすぐに一松の目を見つめた。
「嫌だとかはないけど気持ち悪いは今更だよね・・・」
「だから余計な事・・・じゃなくって、真面目な事なの!」
「?」
またも首を傾げる一松の表情に、ナス子は胸が苦しくなると、たどたどしく言葉を紡いでいった。