第49章 【一松ルート】マイナス端子の恋
雨も少しマシになり、ナス子のマンションへ二人で移動する。
途中で傘を買い、一つの傘に二人で入って歩いていた。
「さささささ、寒い!!春なのに!春なのに!」
「大分マシにはなってきたけど、雨降ると寒いね」
「濡れたのはお前のせいだぞいちまぁつ!」
ゲシリとナス子が一松の足を蹴ると、一松はわざとらしくニヤついて口を開く。
「ああ、これ足折れたわ・・・ちゃんと責任もってナス子が俺の世話してよね」
「ヤだよ、もう一本の足も折ってやろうか?!」
「あー、怖い怖い・・・これだから暴力で訴える女は・・・」
あんなに二人で怖がっていた事が嘘のように、いつもの二人に戻っている。
しかしナス子は一松に伝えたい事があった。
そして一松もナス子に同じで、言いたいけど言えない気持ちがずっと心の奥に疼いている。
マンションに到着すると、ミケ子と一松が久しぶりの対面をし、ナス子が風呂に入っている間ずっと二人で遊んでいた。
お互い交互に風呂に入り着替えをすると、不服そうな一松が脱衣所から出てくる。
「・・・・ねぇ、なんでここにチョロ松の服がある訳?」
もの凄く不満そうに緑のパーカーを着る一松は、全く似合ってはいない。
だがそれが面白くて、旅行中の兄松の事を思い出しつつケラケラとナス子は笑いながらまたスマホで写真を撮った。
「あはははは、全然似合ってない!なんで同じパーカーなのに・・・ぶはっ・・・ははははははっ」
涙を流して笑っているが、先ほどとは違う涙に一松は安心するも、チョロ松の服を着させられている事に関しては納得がいかない。
笑い続けるナス子にも段々イラつくと、上着だけを床に叩きつけた。