第49章 【一松ルート】マイナス端子の恋
「馬鹿、馬鹿一松・・・闇松、燃えないゴミでニートで童貞の残念一松・・・」
「ああ、そうですよ・・・仰る通りで。どうせ俺はクズでダメでニートの燃えないゴミ人間ですよ・・・。そんな俺をどうしてお前が探してる訳?」
「そんなの・・・会いたかったからに決まってるでしょ」
一瞬ナス子の言葉に期待をしてしまう一松だが、もう何度もその期待は裏切られてきた。
どうせまた幼馴染や弟に会いたいお姉さんでしょ・・・。
と、自分の心に言い聞かせる。
「あっそ、でも別にお前の家は俺の家って訳じゃないし・・・どうせ俺なんかがいかなくても他の奴らが毎日遊びに来てたんでしょ?」
「またそうやって自分下げする・・・、何で素直にならないかなぁ…私は一松に会いたかったの!」
もうやめてくれと心の中がざわつく。
一松は皮肉を込めた笑みで震えた唇を開けるとナス子を見下ろした。
「はっ、アンタもつくづく本当馬鹿だよね? 俺に会いたい?? そんなに俺達兄弟が好きなの? 幼馴染で弟だからってちょっと過保護だよねぇ。構えば騒ぐ癖に逆に構わなくなったら自分からホイホイ首突っ込んでくるし、そういうの迷惑なんだよね。もう正直ナス子の顔今は見たくないって言うの? さっきアンタが俺に逃げたって言ったけど・・・そうだよ? 俺はお前から逃げたんだよ。会いたくなかったし、声も聞きたくなかった」
一松が瞳を揺らしながらもわざとナス子を遠ざけるよう傷つく言葉をツラツラと述べる。
でなければ、やっと会えたナス子に今自分が何をしてしまうかわからない━━━━━。
もう怖がらせるくらいなら・・・いっそ・・・。
一松の言葉を聞きながら、ナス子も瞳を揺らすと、雨の雫なのか、涙の雫なのか・・・頬にポタポタと流れているものがあった。