第49章 【一松ルート】マイナス端子の恋
瞬間
ポタ・・・パタタ・・・
ザァァァ━━━━━━━━━━・・・
急な大雨が降る。
突然の雨にナス子も慌てたが、とりあえずもう濡れたので気にする事なくパーカーのフードを被った。
また立ち上がって一松を探そうと顔を上げると、探していた一松がすぐ目の前に立っていた事に瞠目する。
「なにやってんの・・・こんな所で?」
「い、一松・・・」
久しぶりに会話した言葉がこれだ。
お互い会いたいと思っていたのに、言いたい事もあるのに、中々言葉が出てこない。
立ち上がろうとしていたナス子の手を取ると、一松は先ほど自分が隠れていた滑り台の下へと非難させた。
「・・・・・・・」
連れてきた滑り台の下、二人隣り合わになりながら体育座りをしながら黙っているも、何を話せばいいのかと考えながら思考を巡らせる。
一松は何か言わなくちゃと思うと余計に言葉が浮かばない。
一つ皮肉でも言ってやろうかとも思うが、それすらも出てこず無言で前だけを見ていた。
「ちょっと一松!! ずっと探してたんだけどっ」
「・・・は?」
先に沈黙を破ったのは雨に降られ、ポタポタと髪から露を垂らすナス子だった。
「うへぇ、濡れて寒い!! もー、何で逃げるかな?!」
「べ、別に逃げてなんて・・・」
「嘘だ、さっきご飯食べてた時は居たってチョロ松が言ってたもん! 庭から逃げたんでしょ?!」
数週間ぶりに見るナス子は今にも泣きそうな顔で一松の顔を見ているが一松はまだナス子の顔を見れないでいた。
「それに、なんで・・・なんで遊びに来ないの?前はあんなに家に来てたのにさ」
段々とナス子の喋る言葉の勢いが抜けて、途端寂しそうな声に聞こえ一松はチラリと横目にナス子を見ると、今度はナス子は自分の膝に顔を埋めていた。