第49章 【一松ルート】マイナス端子の恋
「ただいまー」
チョロ松が夕方帰宅すると、既にテーブルの上には夕食が並んでおり、他の5人もいつもの配置につき夕食を堪能していた。
「あ!おっかえりーチョロ松兄さん!!」
「今日は遅かったじゃないかブラザ~、シスターの所にでも行っていたのか?」
カラ松の言葉を聞いて一瞬一松をチョロ松が見ると、案の定一松の箸の進みが止まった。
「まぁね、特に進展はないけどね。アイツは救えないくらい鈍いし残念なやつだよほんっと!」
一松から目を離し、荷物を置くと自分も定位置につき箸をとる。
ナス子の気持ちを知ったからか、若干一松に苛立ちを感じつつも、それは敢えて言わずまるで十四松のようにご飯にがっつく。
「なに~、お前そんなに腹減ってたのぉ? ナス子にどんだけ苦労させられたんだよぉ? ま~わかるけどね、あんだけ鈍いと疲れるよなぁ~」
「・・・もぐもぐ・・・、ゴクン・・・。まぁ、苦労はさせられたよね」
フンっと鼻から息を漏らし貪るようにオカズやご飯を平らげた。
全員がポカンとしてチョロ松を見ている。
「はー、ご馳走様!!」
パチンと大きく手を合わせ、最後に食べ始めたのに最初に食べ終わる。
立ち上がるとチョロ松は二階へ行こうとしたのだが、ふとナス子と話した内容を思い出すと、扉の前で一松に体を向けた。
「そうだ、一松・・・あのさぁ」
先程のマンションの会話で、ナス子が夕方に家に来ると言っていた事を思い出し、仕方なくも一松をこの後家から出さないよう取り繕ってやろうと口を開くと、一松はキョトンとしてチョロ松を見上げる。
その瞬間、玄関がガラリと鳴る音と、声が聞こえた。
「こっこっこっ、こんばんは!!!」
「「「「「!!?」」」」」
その声で誰かすぐわかった兄弟達は慌てて茶わんと箸を置くと、玄関へと走って行く。
チョロ松だけは少し遅れて、後ろから顔を出す。