第49章 【一松ルート】マイナス端子の恋
「━━━━━━・・・・・・っ」
「少なくとも、僕の知ってるナス子はそういう人間じゃないんだけど━━━・・・どうなのかな、ナス子姉さん?」
これは、あとでアイツらに謝らなきゃかなぁ・・・。
そんなことをどこかで思いながら、黙って自分の話に耳を傾けるナス子をまっすぐ見据えるチョロ松。
「ホントは・・・・・・こんな事言いたくないんだけどね? やっぱりちょっと悔しいし」
「・・・・・・?」
少しの間が流れ、チョロ松が静かに息を吸い、ハッキリとした口調で言う。
「会いに行けばいいでしょ?」
「・・・・・・!!」
心底、損な役回りだと思う。何故自分はいつもこうなのか・・・。
チョロ松はそう心の中で悪態と溜め息を何度もつきながらも、やはり長い付き合いになる幼馴染であり、姉であり、そして親友としても大事に思っているナス子の気持ちを、無碍には出来なかった。
「でっ・・・・・でもっ・・・嫌がられたりしたら・・・」
「一松は猫だから、放っておくとどっか行っちゃうかもね」
「!?」
言われたナス子はまたも目を丸くする。
しかしチョロ松の言葉に納得したようで、赤い顔をして泣きそうになりながらも何度も大きく頷いた。
「そっ・・・そ、そうだよね、もし嫌われてたとしても言わないと伝わらないし、嫌われてても好かれるよう努力を━━━・・・」
「は━━━━・・・」
マイナス思考女はやっぱり何を言ってもマイナス思考だ。
こんな残念でズボラでグータラで困った事があるとすぐ頼ってくるような計画性のない女をどうして自分は好きになってしまったのか。
しかし好きになってしまったものは仕方ない。
失恋したからといって、急に嫌いになれるわけなどない。
惚れた弱味とは、このことだな・・・。