第49章 【一松ルート】マイナス端子の恋
「それは幼馴染として? 弟として?」
「・・・それとは違うモノ、だと思う。恋愛感情って未だによくわかんないけど、これは確実に今まで思ってた好きとは違うのは自分でもわかった・・・っていうかチョロ松に話してたら自分の考えがまとまったと言うか」
ナス子は自分の言った発言を思いだすと、自分が何を言ったか自覚し顔を赤らめていく。
好きと言葉に出しただけで、その一言を漏らしただけで、それを誰かに聞いてもらったことで、より一層好きになったような気がした。
「どうしよう、チョロ松・・・! 怖いよ、どうしたらいいかなぁ?!」
「はぁ? そんな事僕に言われても知らないんだけど!」
さっきまで真剣にナス子の話を聞いていたが、ここまで相談されると若干腹の立つチョロ松。
知るかよ! お前ら両想いじゃん! 死ね!
今まさに失恋したばかりの自分に、これ以上何を言えと言うのか。
信頼してくれるのは確かに嬉しいには嬉しいが、これ以上は自分のハートが持つ気がしない。
「ったく・・・俺の感情なんて全くお構いなしだな! お前は!」
「えっ・・・・ウザい?! ウザいかな私・・・!」
アドバイスを求めているのか、体の前で手を組み見つめてくるナス子の目には、うっすらと涙が浮かんでいて、それに気が付いたチョロ松は一瞬たじろぎながらも、観念したように溜め息をつく。
「あのなぁ・・・・・・お前もそろそろ卒業したら?」
「卒業?」
「人を好きにならない自分から」
「え・・・・・・?」
突如チョロ松からそう言われ目を丸くするが、その表情を見たチョロ松はさも返ってくる反応がわかっていたかのように話を続ける。
「どうせ誰かを好きになって自分が傷つくのが怖いとか、相手を好きって言って相手を傷つけたらどうしようとか考えてんだろ? そんなの関係ないよね? 恋愛って勝手に好きになるもんでしょ?」
「・・・・・・・・・・・・う、うん」
「自分の気持ちに気付いたのに、それを無視して逃げるのは━━━━━・・・ナス子らしいの?」