第49章 【一松ルート】マイナス端子の恋
「なぁ、お前らどう? 順調~??」
おそ松は弟達と居間で寝転がり仰向けになると、天井を見ながらそう声をかける。
最近この戦況報告が日課になっている六つ子達は、おそ松の言葉を皮切りに各々口を開く。
「全っ然ダメ! 話にならないっ、ナス子姉の恋愛偏差値がここまで低いとは思わなかったよ・・・実は原始時代の人間なんじゃないの? ナス子姉」
「でも原始人はセクロスしてるでしょー?」
「そうじゃないでしょ十四松。セッ×スの話じゃなくて恋愛だよ、その過程に至るまでの! もっと段階を踏まないといけないやつ」
「ブラザ~達も苦労するな・・・俺は毎度のようにナス子から照れ隠しの愛のパンチを食らっている・・・フッ、愛されるってのも参ったもんだぜぇ・・ハハァーン!!」
「ウザがられてんだよっ! イタイヤツいんなって!」
「━━━ってことは、全員特に進展はなしってことだなぁ~」
「「「「「はぁ━━━━・・・」」」」」
深い溜め息が、部屋の中に響き渡る。
しかしその溜息の中に一人、部屋の隅に体育すわりをしたまま混ざらない松野家四男、一松がいた。
「・・・・・・皆よくやるよね」
「はぁ? 何言ってんのいちまっちゃ~ん、お前だってこの前の会議で、ナス子に最初に告白するのは自分だーみたいな事言ってただろぉ? ちゃんと言ったのかよ」
「別に、俺は俺のやり方でやるから放っておいて」
おそ松の言葉に一瞬眉を顰めた一松。
心の中では今この場で話の中心にいる人物、ナス子に会いたい。
脳裏に再生されるナス子の表情一つ一つが一松の心をかき乱していた。