第49章 【一松ルート】マイナス端子の恋
どうして貴重な休みを理不尽に奪われなければならないのかと思うと若干、いやブチ殺したい程腹が立つ。
大好きなゲームも、布団でゴロゴロ寛ぐ事も出来ない。
寧ろアイツらを永眠的な意味で布団に転がしてやろうかと思う。
しかし、自分が蒔いた種でもあり、その仕返しもかねて自分の休息タイムすら邪魔しにきているのではという考えに及ぶ。
寝床につき、愛猫が枕元に丸くなって寝ている姿を見ると顔が綻び、優しく撫でると癒しを感じさせてくれる。
アニマルセラピーは偉大だ。
猫は世界を救う・・・などと考えた時、ナス子の脳裏に一人の人物が浮かび上がった。
「・・・・・・・・・・・・あれ?」
今まで怒涛の六つ子続きでげんなりしていたが・・・。
一 ・ 二 ・ 三 ・五 ・ 六・・・・・━━━━━━
一人足りない。
これでは五つ子だ。
あんなに頻繁にナス子の家に遊びに来ていた、半分一緒にいるのが当たり前のようになっていた人物。
「一松・・・」
ナス子は脳裏に浮かぶ人物をボソっと口に出す。
「・・・ミケ子、最近一松見てないよね」
寝ている愛猫に話かけてみるも、熟睡モードに入った愛猫からの返事はない。
自分自身も今の今まで気づかなかったのだが、普段無口でナス子の邪魔はあまりしない相手。
だからナス子も一松に気を許し、好きな事をそれぞれ好きにやっていた。
それだけ一松は居て当たり前のような存在になっていたからこそ、気づくのが遅れてしまった。
布団から状態を起こし、部屋を見回す。
起き上がってみると、リビング、キッチン、コタツに目を向ける。
いつも一松が座っている場所に、一瞬一松の面影を見た気がするがそれも気のせい。
そこに一松がいない事を実感すると、急に寂しさと不安が募った。
もう何週間も会ってない・・・。