第48章 【トド松ルート】小さな努力
「ここのお店アクセサリーだけじゃなくて雑貨も凄い面白くて可愛い物が多いんだね~、さすがはトド松だ。いいお店知ってるよね!」
辺りをキョロキョロと見回してまだ店の中の物を堪能しようとしたナス子だが、掴まれた手に突然指を絡められ、普通に手を繋ぐよりも恥ずかしい手のつなぎ方になった事にドキリとする。
「は、ははは、トド松!これじゃおそ松とやってる事一緒になっちゃうよ~、ここまで徹底しなくってもちゃんと恋人同士に見え━━」
「今兄さん達の話しないで」
小さく口からでたトド松の本音。
いつもみたいにお茶らけた訳でも、馬鹿にしようとしてる訳でもなく・・・見上げたナス子の目を少し寂しそうに見ていた。
「・・・トド松?」
「今は僕とデート中でしょ?他の奴らの話なんて聞きたくないよ、ナス子・・・・・・ねえ、ぼくを選んでよ」
突然に真剣な顔でそう言われ瞠目すると、トド松の顔を見てしまう。
こんな場所でこんなやり取りをして、他の人達に見られたらとても恥ずかしい事ではあるが・・・トド松から出されたいつも以上に真剣かつ追い込まれているような顔に戸惑うと、自分は何を言葉に出していいのかわからない。
「・・・・・・~~~っ!!!」
グワっと頭に血が上ると、ブンブンと手を振りトド松の手を引き離そうとしたが、絡められた手は一向に離れず、トド松は今だにもナス子の顔を見ている。
「ちょ、ちょっと待って、ここ今外・・・っていうかお店の中だから! 最近のイタズラにしては少し凝りすぎなんじゃないのトド松!!」
「これが本当にイタズラに見えるの?」
わかっている、しかしわかりたくなかった。
まさか・・・薬の一件や最近の六つ子ラッシュの、特にトド松の行動は、トド松が自分の事を好きなのではないかとチラリとでも思ってしまう事が多々あった。
おそ松とはまた違うスキンシップ、何故か女の子とのデート話をしてはコチラの顔を伺ってくる。
いつも馬鹿にしてばかりなのにやたら褒めてくる。
置き場所に困ると冗談で言ったプレゼントも、本当は嬉しいし自分好みなものばかりだった。