第48章 【トド松ルート】小さな努力
「なはははは、今度はグラサン発見デイ〜! これは? これはどうかな?! ていうかこんな星形のグラサンあげたら装置してくれると思う? どこまで悪ふざけに乗ってくれるかな、カラ松は! ふふふ」
またとばかりに次はイタイ兄の名が口から無自覚にも出されると、温かだった感情がまたもモヤリとする。
だが自分と居て、兄弟達の話がでてしまうのも六つ子全員が幼馴染でナス子に好かれている事なのでわかってはいた。
しかしそれはそれでこれはこれ、どんなに仲が良くても兄弟でも、今はナス子を取り合う恋のライバルだ。
「え〜?そんなクソダサいの買うの!? カラ松兄さんのサングラスより酷くない?! 悪意しか感じないんだけどーー!」
「ははは、バレたぁ? だってさ、カラ松って面白いから弄りたくなるんだよねぇ」
「ただのイタイだけの兄さんだけどね!」
手に持って掲げたグラサンを元の位置に戻すと、突如拗ねて膨れてしまったトド松を不思議に思い、ナス子が頬に手を添えようと手を伸ばす。
しかしその手はパシリと掴まれ、上から拗ねた表情のまま見下ろされた。
━━━━━━━━━━可愛い・・・
先程のトド松ではないが、ついナス子も同じ事を心の中で考えてしまうと、途端胸がキュウと締め付けられた気がした。
嫌だな、今日は調子が狂うな
トド松も、ナス子もまるで同じ事を考えているのだが、口からそれが出せない。
普段は甘えた仕草の多いトド松だが、付き合いの長いナス子相手にはドライな発言も多く、態度も悪い。
しかし今日は違う。
扱いがまるでいつものそれと違う事に狼狽つつも、嬉しくなってしまい、常にトド松にときめいてしまっている自分の心に気づく。
だが、ナス子はこれを言ってしまうと、先程から煩い心臓と熱くなる身体や顔の理由を認めざるを得なくなってしまうと思い、ギュッと目を瞑りまた他の品へと視線を走らせた。