第48章 【トド松ルート】小さな努力
「・・・・・・・・」
「え?! おぃぃ、なんで真顔!? その真顔いつも思うんだけど何考えてるかわかんないしやめてよ! ってか普通返事もないのに開けるかな?!」
何やらナス子が喚いているが、トド松はナス子の姿を見ると固まってしまい喚き声など一切届いていない。
今目の前にいる彼女の姿にポカリとした表情を向け、上から下へとゆっくり視線をずらす。
「まっ、待って待って! そんなじっと見ないでくれない?! 恥ずかしいって言ってるじゃんっ」
必死にワンピースの裾を掴み、裾を伸ばそうとする仕草にまたも可愛いと思ってしまう。
しかも最近痩せてきたナス子にサイズも合っていたようで、思っていた以上に似合っていた。
「トド松?! 聞いてる?! ほんっっと、もう脱いでいいかな?! カーテン閉めるからね?!」
「・・・・・・可愛い」
ポツリと本音が口から洩れた。
「へ?」
トド松から洩れた言葉に、ナス子も一瞬心臓がドクリと鳴ると、みるみると顔が赤くなる。
そんな表情を見られたくなくて、下を向き無理やりカーテンを閉めようとするも・・・
トド松がそれを許さないと言わんばかりに持っていたカーテンを離し、ナス子を奥においやると、無意識に試着室の中へと共に入り、すかさずカーテンを閉めた。
「んな、ななな、なにしてんのトド松」
「・・・いや、思ってた以上の出来栄えにビックリしたっていうか、意外だったって言うか」
ポツリポツリと声を漏らすトド松も、相手の顔につられると同じく顔を赤くし自分の腕で顔を隠す。
そのトド松の表情がまたナス子の心臓の脈を早くさせるも、この場のおかしな空気に我慢出来ずついつい悪態をついてしまう。
「・・・っ! 変!! トド松が変! いつもはもっと残念とかクソダサイとか言ってくるのに・・・そんな、そんな事言われると・・・緊張するんだけど」
「ぼくだってほんとは・・・もっと違う事言ってやろうとか思ってたんだけど、あー、おかしいな・・・こんなのぼくのキャラじゃないよ!もーっ」