第48章 【トド松ルート】小さな努力
「たまには新しい世界に踏み出すのも第一歩でしょ! 自信なくしてないで着るだけ着てみればいいんじゃない? 試着室行こうよ、ほらぁ!足引きずってないで来る!!」
「うぐ〜・・・着たくない・・・絶対アンタ笑うもん!残念ていうもん!」
トド松に強引に手を引かれ有無を言わさず試着室へと連れていかれながらもブーブー文句を垂れる。
「へ〜、トド松先生の選んだものにケチつけるの? なんならぼく帰ってもいいんだけどね〜?」
ニヤニヤとした顔で持っていたニットワンピを差し出すと、相手の反応がわかっているかのように惚けた口で表情を作る。
「わ、わかったよ! 着る、着てみるからっ!!」
おずおずと手が伸びると、その服を受け取りナス子は諦めたように試着室へと入って行った。
それを見送るトド松は、自分がコーディネートした服をすぐ目の前で着てもらうのはなんと気持ちがいいものかと心が躍る。
手を繋いで、名前で呼んで、服を選ぶ・・・まさに今自分達二人は恋人同士だとニヤつきが止まらない。
試着室の前でまるで鼻歌を歌ってしまいそうな気分なった。
「トド松〜・・・着たけどやっぱこれ恥ずかしいよ!肩とか出した事ないしっ、脱いでいい?!」
中から待ち望んだ声が聞こえると、まさかの早速断念し服を脱ごうとする声が聞こえる。
まだその姿を確認していないのに早々に脱がれてしまっては自分も楽しくない、寧ろ見たい!
「ダメに決まってるでしょ! 着替えたなら開けるよ?!」
返事などおかまいなく、問答無用で試着室のカーテンを開けると、意外な事にナス子は履いてきていたズボンを脱ぎワンピース一枚だけの状態で立っていた。
その姿にトド松の動きがピタリと止まる。