第47章 【おそ松ルート】今こそ全ての想いを・・・
「た・・・・・・ただいま・・・おそ松・・・」
目を見張ったままナス子がそう言うと、おそ松はよく出来ましたと言わんばかりにナス子の額にキスをする。
「・・・・・・・・・・・あれ? 抵抗なし?」
いつもならここで罵声の一言でも飛んでくるところなのだが、ナス子は一言も発することもなければ、抵抗する様子もない。
ただ、おそ松の言葉に、ナス子はそっと自分の腕をおそ松の背中へと回す。
それに驚いたおそ松が、一瞬ビクリと身体を震わせた。
「・・・・・・・ねぇ、おそ松・・・」
「ん? どした? 仕事で失敗でもしたかぁ? ハッ! まさか今日もひどいセクハラに合ったとかじゃないよねっ?!」
「ちっ、違うよ! 今日は━━・・・失敗は・・・まぁ、したけど・・・セクハラはされてないよ・・・そうじゃなくて・・・・・・」
「?」
煮え切らない様子に、おそ松が腕の力を緩めてナス子の顔を覗き込むと、ナス子は何とも言えない表情でおそ松から視線を逸らして目を伏せていた。
照れているような、怒っているような、困っているような、泣きそうなような、嬉しそうなような・・・
その全てが当てはまるかのような、それはおそ松が初めて見るナス子の表情だった。
「おい、ナス子・・・・・・・・・・」
「━━━━━━・・・もう一回言って・・・」
「は?」
ナス子は搾り出したようにそう言うと、意を決したように顔を上げてガバリと身体を起こして布団の上に正座する。
あまりの勢いにおそ松も止められず、急に自分の腕からいなくなったナス子の体温の余韻に切なさを感じつつ、自分も起き上がってナス子の前に正座する。