第45章 第二回 松会議
「そういうお前はどうなんだよ? あんなに好きじゃないとか断言した癖に抜け駆けしやがってさ~、一番罪重いよねっ! 万死に価するよね!!」
「だ、だって相手はナス子姉だよ? ぼくの好みとは正反対の女の子だし、まさかぼくがそんな相手を好きになるなんてありえないと思うじゃん?!」
「よし、じゃあトド松は最後って事で・・・・・・」
「えぇ?! ちょっと一松兄さん! なんでそうなるのぉ?!」
「お前だってすぐアイツにキスするし油断ならないんだよね。そのせいで俺達まで警戒されたらこっちも迷惑だし・・・」
弟達の会話を聞き、おそ松は腕組みをすると目を瞑って考える。
確かに順番は関係ないのかなとは思うが、誰よりも早く気持ちを伝えたいという思いも否定できない。
恋愛感情を持たない間も手を出したくて仕方なかったし、実際に手は出していたが、それは手頃で身近な女子だからであり、お互いが気の置けない存在だからこそ、嫌われない自信もあった。
というか、本当に嫌われるようなことは松達もしない。
そこの線引きはわかっていたつもりだ。
「けどナス子姉さ、ぼく達6人に一気に告白されて大丈夫かなあ? 逃げちゃわないかな?」
ふと、心配そうな声色でそう言う末っ子に、ある意味いつもペースを崩さない長男があっけらかんと答える。
「そこは大丈夫なんじゃねぇの? この前の反応見てると多少脈はあると思うね、俺は!」
「お前のその自信がどこから湧いてくるのかわっかんねぇ」
「んー、チョロ松ぅ、こういう時は当たって砕けろって言うでしょぉ? それに俺らに惚れられたのが運のツキだよねぇ」
「砕けたらダメなんじゃないの? いや僕達にとってはお前がバラバラに砕け散ったほうが全然都合いいんだけどさ」
先程珍しく自分の意見を主張してきた一松は、すっかり元の体育座りに戻り、闇のオーラを発しつつ、誰に話しかけるでもなく呟く。