第44章 私が気持ちよくなる薬を六つ子に飲ませました 六つ子と私
「いや~、面白いものを今日は見たなあー」
「無視?!LIME既読スルーだけじゃなくてとうとう直接スルーまでするようになったのナス子姉さんは!!」
「よし、ミケ子!帰ろうっ」
ナス子は気持ちよく寝ているミケ子を優しく抱くと、様子のおかしい松達を余所に出口へと向かう。
「あれ?ナス子、帰んの?今日一日堪能するとか言ってたじゃん」
背後からおそ松に呼び止められると振り向かないままナス子はピクリと肩を揺らした。
「だって、今日の皆・・・いくら褒め薬飲んでるからっておかしいんだもん。なんかいつもと違う」
ナス子から紡がれた言葉に6人もピクリと肩を揺らす。
この薬のお陰と言うか所為と言うか・・・最近自覚した自分達の思いのたけを正直にぶつけていたのも事実。
やりすぎたか?と思い、まだナス子は自分達の事を怖がっているのかとソロリと6人は顔を覗き込みに行く。
「見るなアホ野郎共━━━━━!・・・バーカバーカ!!」
若干子供じみた吐き捨て文句を捨てるナス子は、今まで見た赤い顔とは違った・・・もっと・・・六つ子がこれまで一度も見た事のない複雑そうで恥ずかしそうな表情をしていた。
「その薬・・・・・・効果強い代わりに本当は30分くらいしか効果続かないんだってさ」
「「「「「「えっ?」」」」」」
「もう、とっくに効果切れてるよ・・・アンタ達」
「さ、さんじゅっぷん?て事は俺らナス子相手になんであんな褒め・・・」
引き攣った顔のおそ松がタラリと一筋汗を流す。
「oh 恐るべし思い込み・・・全く気付かなかったぜ」
「ていうかどこから?どこから効果切れてた?30分てさっきのどの辺りまでの流れな訳?!」
「教える訳ないじゃん!ごめんなさいでした!!んで、お邪魔しました━━━━━!」
入ってきた時と同じ効果音をスパーンと鳴らすとナス子は部屋から出て行く。