第44章 私が気持ちよくなる薬を六つ子に飲ませました 六つ子と私
「やーっぱアレだよなぁ、どんなに大好きなお姉ちゃんでも怯えた顔させるよりはこっちの笑った顔の方が可愛いよなぁ~! てかこの薬の一日の効果って何時まで続くワケ?! 何で俺らがコイツの事褒め続けなきゃいけねぇんだよ、くそぉ~! 口を開くたびに可愛い可愛いとか、ナス子お姉さま相手に俺のキャラじゃないんだけどぉ?!」
十四松の水芸にお腹を抱えて笑っていたナス子だが、おそ松の台詞に気を取り直し一度呼吸と整えると、ドヤ顔で腕を組み、自分より背の高いおそ松を見上げながら、心では見下す。
「ふふん、そのままさっきの行いと日頃の行いを反省する事ねおそ松! ナス子様はもっとお褒めの言葉が欲しいなぁ~、お姉ちゃん的な感じで欲しいなぁ~」
「ねぇ・・・こいつってほんと馬鹿で可愛いけど学習能力は本当ゼロだよね?」
一松がボソリとトド松に話しかけると、トド松も大きく溜息をつく。
「仕方ないよねぇ、だってそんな馬鹿な所も可愛いのがナス子姉さんなんだし・・・チンパンジーだってこれぐらい学習するよ? ってことは、うぬぐぐ・・・っチンパンっ、ジー、以下っ・・・っだね~」
そんなスゴイ顔にならなければならないほど無理やり薬の効果に逆らってナス子下げをしてくる末っ子トド松。
「トド松スゴイね・・・・・・なんかよくわからないけど、よくわからないけど少し尊敬する・・・・さすが乾物・・・」
ぺちぺちとヤル気のこもっていない拍手と、感情のこもっていない瞳をトド松に向けつつナス子がそう言うと、
「ちょっと! 乾物ってなに?!」
「ドライモンスター、日本語に訳して乾いた怪物、略して乾物・・・」
「わざわざ日本語に直す必要ある?! 枯れたじいさんみたいでイヤなんだけどその呼び方!!」
「いいじゃん、呼びやすいよ?乾物」
「どんなに世界一最高のお姉ちゃんだとしてもやめてくれる?!」
薬に必死に抗っていたトド松だったが乾物と呼ばれ取り乱すとすぐに薬の効果に負けてしまう。
ナス子はスマホを見ると唖然とする・・・そして立ち上がる。