第44章 私が気持ちよくなる薬を六つ子に飲ませました 六つ子と私
「・・・え、怖かったの? ご、ごめん。お姉さまの怯えた顔があまりにも俺を煽ったっていうか、麗しかったというか・・・別に怖がらせたかった訳じゃ・・・くそ、この薬面倒臭いな」
予想外のナス子の言葉に、一松も素直に謝罪の言葉を口にする。
確かに普通に喋りたいだけなのに無駄に文字数、もとい言葉数が多くなってしまうので、めんどくさいことこの上ないだろう。
普段言葉少なな一松なら尚更である。
「あ、いや・・・っ別に何もないならいいんだよ? いんだけども! トド松が言った通り、元はといえば今回の事は自分が元凶だしっ」
「ナス子姉さん・・・俺もすまなかった、俺が調子に乗りすぎたばかりに、ビューティーシスターを怖がらせてしまうとは」
「全くその通りだよね、カラ松はいつもすぐ暴走するんだからさ!気を付けろよな?僕らの大事なお姉ちゃんに手だしでもされたらお前の事マジで殺すかもしれないよ?」
冷めた目を向けカラ松を責めるチョロ松に、カラ松が珍しく反論する。
「ええ?! チョロ松だってナス子の逃げ口を塞いでいたじゃないか! 同罪だろう!!」
「うっ・・・・・・で、でも、僕は直接何かしたわけじゃないから・・・・でも・・・ごめんなさい」
結局二人並んで頭を下げられ、ナス子は慌てて両手を振り、二人に顔をあげるよう促す。
「いやいやいや、カラ松もチョロ松も・・・! こここ、これは私が皆に仕返しと遊び半分で飲ませた薬が悪かったワケだから、私が悪い! ちょっと普段見ない皆の顔が見えて少しビックリしただけだから!」
「姉さん、姉さんは怖がってるより笑った顔の方がもっと可愛いよね!!」
ニュっと横から顔を出した十四松が、どこから取り出したのかペットボトルの中の水を飲むと、少しの間のあと、ピューっと顔の穴という穴から水が噴射される。
「え━━━━?! どうやってやるのそれぇぇえぇ?!」
「あははー、いくら思慮深くて大好きな姉さんでも企業秘密だよ?! ほら、見てー!!」
「笑うどころか凄すぎて唖然とするんだけど?!」
ナス子は、十四松の水芸にビックリしながらも、見ていると段々とおかしくなってきて、声を出して笑ってしまう。
「ちょ、ちょっと待って! もういいから、もういいって十四松・・・ブフォ・・・っ・・・あはははは!」