第44章 私が気持ちよくなる薬を六つ子に飲ませました 六つ子と私
どうしようどうしようと、大量の冷や汗をかき目をぐるぐる回しているナス子が、とにかく何か言ってこの先の展開を阻止しなければと思い、口を開いた瞬間、
「チュパカブ・・・・・・っ!」
「ハ━━━━━イ! スト━━━━━ップ!!」
パァンと言う手の音が鳴り、ナス子はビクリと体を跳ねさせた。
すると、強く抱き締められていたおそ松の手が緩む。
「なーんつってなぁ! やっぱナス子様は面白い! 俺らがこういう事するとすーぐ体に力入っちゃうんだからさぁ~っ、そんな所も可愛いけどぉ? それとも慈悲深いナス子様が俺らに合わせてくれたのかなぁ? んなーっはっはっはっは」
背後でお茶らけたおそ松がニヤニヤしながら離れると、ソファの淵に腰掛けた。
それを見ていた他の松達もナス子から離れると、やっと床に座り出す。
「え・・・え?・・・あ、遊ばれてたの?! ちょっと、本当悪フザケも大概にしてよ・・・ほんとに皆どうしちゃったのかと思ったじゃん! マジ薬恐怖症になるわぁ、こわー!!」
「薬飲ませてきたのは優しくて頭の回転の速いナス子お姉ちゃんでしょ? ぼくらはちょこっとだけ仕返ししただけだよっ、へへ!」
顔の前でピースをして、同時にウィンクを飛ばしてくるトド松の目玉を指で突き刺してやろうかと思ったが、今は安堵の方が大きく、トド松の台詞に大きく息を吐く。
「ちょこっとじゃない!ビックリしたし・・・ちょっと怖かったし・・・は~~、もう早く薬の効果切れないかなぁ」
そのナス子の発言を聞くと、6人全員が表情をなくして動きを止める。
ナス子が怖いという対象は『自分に好意を寄せる男性』でもある。
その対象に少しでも自分達が入っていた事に全員が驚いた。
それは、ナス子が自分達を男として意識したという証拠にもなるからだ。