第44章 私が気持ちよくなる薬を六つ子に飲ませました 六つ子と私
「おい! それ本当かよ?! 俺らの大事なナス子様にそんな事しておいてよく今まで飄々としてられたなカラ松ぅ!! 色気皆無なナス子だって俺にとっちゃ憧れで可愛くてずーっと大事なヤツなんだぞ?!」
「~~~~っおそ松も! もう何も言わないでー!! 私が限界!!!」
こんなはずではない。
こんなはずではないと、何度も心の中でのた打ち回りながら叫ぶナス子。
私が気持ちよくなるハズの薬なのに何も気持ちよくはない。
まさか薬は失敗作だったのかと心の奥底でデカパンに悪態をつく。
「何言っちゃってんのナス子さ・・・ナス子お姉ちゃ~ん、俺らにこの薬を無邪気な計画を立てて飲ませてくれたのはナス子お姉ちゃんだろぉ?ならちゃーんと責任もって今日一日付き合えよ~?」
今度はおそ松がカラ松の反対側に座りナス子の横に腰掛けると肩に手を置き抱き寄せた。
確かに六つ子の台詞はいつもと様子が違っておかしいが、こういうことじゃない。
こういうことじゃないのだ。
「あのさぁ、お前ら僕の優しいお姉ちゃんにベタベタ触るのやめてもらえる? 大事なお姉ちゃんに変な菌とかつけられたら困るし、やっぱりお姉ちゃんの相手をするのはこの常識的な僕じゃないと!ねぇ、ナス子姉?いつもお茶目な所とかホント可愛い」
お姉ちゃん、お姉ちゃんと連呼されるも、もはや何も嬉しくはない。当然気持ちよくもない。
目の前にチョロ松まで立たれ、とうとう逃げ場を失うナス子。
褒め薬がまさかこんなふうに作用してしまうとは思わず、なんとか抜け出そうとするもおそ松の抱き寄せる力からは逃げられない。
「お姉さま!ボクも一緒に遊んで欲しいなぁ、皆ばっかりズルイよ、ボクの方が姉さん大好きだよー?!いっつも輝いてて僕元気になれる!」
「も~、本当皆は我慢ってものを知らないから困るよねぇ? ぼくらの謙虚で可愛いお姫様を困らせちゃダメでしょ? ほら、可愛い姉さんが顔を赤くして困ってるよ?」
わらわらとソファに群がる6人にあっという間に囲まれる。
まるで一匹のカピバラが狼の群れに捕まったようだ。
いや、コイツらが狼とか狼に失礼だな、チュパカブラかなんかでいいな、とそんな場合ではないのにそんなことを思う。