第44章 私が気持ちよくなる薬を六つ子に飲ませました 六つ子と私
「Why?! 俺がこのクソ長男と同じ・・・だと?! 突然何を言い出すんだ! いくら俺の麗しいヴィーナスでもその発言はいただけないぞっ」
「だって・・・思い返すと一番・・・・・・アレじゃん・・・!」
両手を広げて納得いかないという様子でにじり寄ってくるカラ松と距離を取り、それ以上近づくなとカラ松に向けて手を払う。
「アレってなに?! おい、カラ松! 俺のナス子様にアレとかアレとかアレとかしたってこと?! なにそれ許せないんだけど?!」
「アレばっかりで何を言っているのかわからん」
何故かおそ松には塩対応の多いカラ松が適切なツッコミを入れる。
長男次男が何やらじりじりとお互いの様子をうかがいながら牽制しあっていると、あざとさを隠そうともしない声色でトド松が間に入ってくる。
「ちょっとおそ松兄さん、俺の、ってなに?! それを言うならぼくの方が付き合いは親密だし、お姉ちゃんのいい所はぼくがいっっっちばん理解出来てるから! ぼくの、お姉ちゃんのほうが正しいから!」
「はぁ?! 今カラ松の相手してんだからお前は入ってくんなよ!」
「そうだぞトド松! 引っこんでろ!」
兄松二人に同時に睨まれ、トド松はわざとらしく肩を窄め、ドサクサ紛れにナス子にひっついて助けを請う。
「わーん! 長男次男に怒鳴られちゃったよお、助けてナス子お姉ちゃん! ぼく怖いよお・・・っ」
「「はあああああああ?!」」
泣き真似は十八番とばかりに、見事に涙を流すトド松の頭を、ナス子は優しく撫でてやる。
もちろん泣いたふりなのはわかってはいるが、六つ子とはいえやはり末っ子というポジションがそうさせるのか、無条件に庇ってやりたくなるのは否めない。