第44章 私が気持ちよくなる薬を六つ子に飲ませました 六つ子と私
「グガー・・・・・・ん?・・・姉さん??」
「あ、ごめん。起こしちゃった? 十四松」
「姉さんの声と匂いがしたから、今日はいつもと匂い違ぇーね?」
「ん? 匂い? あー、もしかしてボディソープ変えたからかな?」
「そうなんだぁ、それもいい匂いだよ!」
十四松はニパリと笑うとまだ寝ぼけてナス子の腰にしがみつく。
そのまま頭をうつ伏せに膝に乗せるとクンクンと嗅ぎながら頭をこすりつけている。
「十四松!! お前なにしてんだよ! その場所は長男である俺の場所って決まってんの!」
「黙れおそ松、いつから私の膝はアンタ専用になったワケ?!」
「いつって━━━━・・・・・・ずっと・・・前から?」
ナス子が睨みつけると、いつもは軽快に返って来る軽口を濁すおそ松。
目があった途端、大量の汗をかきナス子から目を逸らす。
いつもとは違う反応に、ナス子は訝しげに首を軽く傾げる。
「おそ松兄さんはわっかりやすいよねぇ、ホント・・・ねぇねぇ、姉さんぼくにもまた膝枕やってよー!旅行の時みたいにさっ」
「うん、別にいいよ?」
「おっとゴメンよー・・・・・・頭が滑った」
「ブフォ━━━━━━━━━━っ」
トド松がナス子に触れようとした瞬間、ソファにいた一松がトド松の腹に飛び込むように頭突きをくらわす。
鳩尾に食らった攻撃の痛みにトド松は床を転がった。
「全く、こいつらってほんっと馬鹿だよね? あ、ナス子も馬鹿だけどまた違う馬鹿ってことね?」
さも自分だけは違いますスタンスを貫こうとするチョロ松は、腕組みをしてその様子を見ていた。
「フ・・・ナス子、今日は突然どうしたんだ?遊びに来たのはわかったが、オレたち6人が揃っている時に鉢合わせるとはまるでデスティニーだな」
「そうね、カラ松。デスティニーね」
いつもならここでアバラの一本にでもヒビが入るところだが、
カラ松のセリフに、企み心が躍りニッコリと笑顔を返す。