第44章 私が気持ちよくなる薬を六つ子に飲ませました 六つ子と私
襖に手をかけ勢いをつけて開ける。
満面の笑み、そして安定の大声である。
「ちゃ━━━━━っす!!!」
「「「「「・・・・・・・」」」」」
スパーンと襖を開けると、2階の自分達の部屋でダラダラと過ごす5人がギョっとしてナス子に視線を向ける。
十四松は寝ているようだ。
「・・・ん? 何この空気は? いきなり来たらやばいヤツだった? もしかして男同士のするエロ話とかしてたとかぁ? はっはっは」
ナス子が冗談でニヤつきながらミケ子を一松へ差し出し、荷物を下ろすと許可もなく適当な場所に腰を下ろす。
「一松、ミケ子連れて来たから一緒に遊んでやってね!」
「・・・ん」
一松はミケ子を抱き、撫でながらも他の兄弟達の顔色を窺っているようだ。
一方他の兄弟達は何故かまだ押し黙ったままだが、やっと口を開いたのはトド松だった。
「ナス子姉、急にどうしたの? 今日は仕事休み?」
「うむ! しかも私にしては昼に起きるとか凄くない? 最近ちょっとだけ早起き出来るようになったんだよねぇ、褒め称えてくれてもいいのだよ諸君!」
若干鼻高々に言うナス子を見ると、一瞬ホっとしたような溜息をついたチョロ松が壁にもたれかかったまま就活雑誌を床に置きへの字の口を開いた。
「あのなぁ、それ全然自慢出来る事じゃないからね? 昼に起きるとか普通の人は普通にやってのける事だから、いくら深夜に仕事してたとしてもさすがにナス子みたいに出発ギリギリまで寝てる人とかいないんじゃないの?」
「うわぁ、早速褒めるどころか落としてきたよコイツ! この前はお手伝いありがとう、だがしかし死ぬといいと思う!」
「手伝ってやった恩人にそういう態度とるか?! 次同じ事があっても手伝わないからな僕は━━・・・」
「ちゃんとその後お礼のマッサージしたじゃん!」
「それはそれ、これはこれ」
ナス子が思っていた通り、早速ぞんざいな扱いを受けている気がするが、この7人で一緒の空間にいる事が好きなナス子はムカつきつつも楽しい。