第43章 パチンコ警察24時? トド松side
「あーあ・・・言っちゃったね・・・」
溜め息混じりに、そして少し自嘲気味にそう呟いた一松兄さんの声は、決して大きくはなかったけど、しんとした部屋にはやけに響いて聞こえた気がした。
「え?・・・どういうこと一松兄さん・・・もしかして、一松兄さんは気付いてたの?」
「・・・・・・さぁ、どうだろうね・・・」
そう言ってまたいつものように部屋の隅で体育座りをして口を閉ざして、今度は目も瞑ってしまった。
これは、もうこれ以上何も言うつもりはありませんという一松兄さんの意思表示だ。
でも、今の一松兄さんの台詞と、この態度。
実は普段人一倍人の目を気にして、周りに気を遣ったり目を配ったり、繊細な心を持つこの人は、自分の感情を整理するのが多分上手だ。
だから、もしかしたら一松兄さんはいち早く自覚して、ずっと隠していたのかもしれない。
「━━━━━おいおい、トド松ぅ~、突然何を暴走しだしてんの? 俺たちがナス子を好きぃ? お前頭大丈夫? もしかして熱ある? 病院行ったほうがいいんじゃない? 俺たちがナス子のこと好きなんてそんなことある? 馬鹿馬鹿しい」
いや言ってることとは裏腹にすっごい汗かいてるからっ。
目が泳いでるから!素直かよ!!
まぁしょうがないか、小学生の頃から変わってない馬鹿プレーン長男だし。
でも、これは絶対に自覚してる奴だね。わっかりやすい。
「? トド松、すまん・・・台詞が長すぎて途中から何を言ってるのかよくわからなくなってしまったんだが・・・えーと、ナス子のことはその・・・す、好きだが、そういうんじゃないぞ? 俺は」
カラカラカラッポカラ松兄さん。
ホント残念だよねぇ・・・
そう言いつつも、好きとか言うところで突っ掛かってるし、なんか表情が釈然としない感じで困っちゃってるし。
これはあれかなぁ・・・認めたくないとかそういうんじゃなくて、純粋によくわかってない感じかなぁ・・・