第41章 とにかくキスがしたい十四松　十四松side

　
　でもボクの本音は留まる事を知らないらしい、床にあったクッションをギュっと抱いて姉さんに向かって転がっていった。

「姉さんと温泉でキスしたでしょ？　ボクあれからずっと姉さんとキスしたかったんだよ」

　姉さんの顔の前に到着して早速と思ったら目の前に手。
　待て　だ。

「･･･ステイ、ステイだ十四まぁ～つ」

「？？？」

「あのね、いきなりウチに遊びにきてキスしたいってどういう事？！　さすがに馬鹿でアホで残念な私でも理解不能なんだけどっ？　あ、もしかしてこれ馬鹿だからわからないの？！　そうなの？！」

　姉さんが混乱してる。
　けどボクの前には待ての手を出されたままだ。

「なんでダメなのー？　前はしたでしょ？」

「う、うーん･･･あれはなんていうかその、あれだよあれ」

「あれとは」

「温泉入っててなんかいつもと雰囲気が違ったというか」

「雰囲気とは」

「だから、ね？　嫌とかではなかったー･･･けど、弟とそういう事とか何度もするっておかしいんじゃないかって」

「弟とは」

「だ━━━━━っ！！　聞け、人の話をっ！！　っていうか、あの時急にキスしてきたの十四松の方でしょ！？　何で普通に二人で仲良くキスしましたとさ、みたいな流れになってるの？！」

　姉さんが混乱して頭を押さえると床にゴンゴンとデコをぶつけだす。
　姉さん大変だ、馬鹿がもっと馬鹿になっちゃう！！！

「したよね？　仲良くキス」

「そ、そんなキョトンとした表情で飄々と言わないでよ！　とにかくキスはしません！！　いくら姉弟と言えど、スキンシップだとしてもしないって言ったらしないの！」

　･･･なんでかなあ、あんなにキスって気持ちいいのに。
　それにボク前にも姉さんに言ったよね。