第41章 とにかくキスがしたい十四松 十四松side
「違うよナス子姉さん、ボクらは幼馴染でしょ?」
「ハッ!」
あんれえー、さも忘れてたかのような表情してるよねコレ。
もしかしてボクの事まだ男って思ってないんじゃ?
「幼馴染だけど、それなら余計にキスするのおかしいじゃん! 別に恋人同士な訳でもないしさ、こういうのは好きな人とするんだよ十四松」
「ボク、姉さんの事好きだよ!」
間違ってないからボクは座ったままズリズリと下がる姉さんに逆に前進して近づいていく。
鬼ごっこ?
「は━━━━━━・・・違う、違うんだよ。そういう好きじゃなくてね? もっと・・・・・・・・・えーと胸がギュっとかそわそわしたりとか、あー・・・ん? どんな風に言えばいいんだろう」
ちょっと困り果てている姉さんはウンウン唸って頭の中がどこか遠くに行ってしまった。
僕は目だけ横を向いて考える。
思い出したのは、あの子の顔。
あの時のボクは、あの子の笑顔が大好きだった。
笑ってもらえてスッゲエ嬉しかった。
「好きな子には、笑って欲しいって思うよね」
今度はボクは姉さんの目をまっすぐ見て頑張って真剣な顔を作ってみる。
「うんうん、それはそうだね・・・って何いきなり、真面目?!」
「なら問題ナッシ~ング!! だってボクだって姉さんに笑って欲しいって思うもん」
そしてまた近づく。
逃げられる。
近づく。
逃げられる。
「違う、きっと違うよ十四松! 笑って欲しいってのは確かにそうだけど、他にも色々あるでしょ?」
「例えば?」
首を傾げて聞いてみると姉さんは顔を真っ赤にして下を向いてしまった。
でも困ったように小さな声で教えてくれる。