第40章 【微エロ】クソ松の暴走 カラ松side
「実は、その・・・その時に、」
「その時ってどの時ですか?キスした時ですか?触った時ですか?」
「わかっているじゃないか・・・」
「・・・で?」
「その時に・・・ナス子が、いつもより、とても可愛く・・・愛おしく思えたんだ・・・これは、もしや俺は・・・ナス子のことが、好きなんだろうか・・・」
ナス子のことが好きだとわかっている一松にこんなことを・・・と思わないではなかったが、そんな一松だからこそ、俺は今話を聞いてほしいと思ったのかもしれない。
本来なら、俺はブラザーの恋路を応援しなければならないというのに・・・なんというザマだ・・・俺という男は・・・っ
「ナス子には、それは勘違いだと言われたんだ。一度はそれで納得したんだが・・・やはり、何かが引っかかっていてな」
「・・・・・・・・・・・・」
「なんというか・・・心臓に不快感が走るとでも言うのだろうか・・・とにかく、何だか落ち着かなくてな。なんとかしたくて」
「勘違いだね」
「・・・え?」
一松の声は静かだった。
だが、さっき怒鳴られた時よりも、その声は何故か大きく俺の耳に響いた。
「ナス子の言う通り、お前のそれは勘違いだよ。ちょっと優しくされて、すぐ手の届く位置にいる女に、その時その気になっただけ・・・優しくされたのがナス子じゃなくても・・・誰だってそうなるよ、きっと」
確信したような目と声色でハッキリとそう言われ、俺は言葉を続けられなくなる。
一松の視線は、珍しく逸らされることはなく、真っ直ぐに俺を見てくるその表情は、茶化したり、馬鹿にしたりしているようにはとても見えなかった。