第40章 【微エロ】クソ松の暴走 カラ松side
「一松・・・」
「今世紀最大規模で、真剣に話聞いてやってるんだよ、俺が・・・ま、ゴミの言うことなんて信じられないか」
自嘲気味に笑う一松。
いつもの一松の笑い方だが、今は、何故だか切なげに見えた。
「・・・何を言うんだ一松!俺からお前に相談に乗ってほしいと申し出たんだ!俺はお前の言うことを信じるぞ!」
「・・・・・・ああ、そう・・・それは・・・よかった」
「ああ!ありがとう一松!やはりこれは俺の勘違いというだけのことだったんだな!スッキリしたよ・・・サンキューな!」
直前まで笑っていた一松の顔が、何故か俺の言葉でぐっと眉を顰めると、瞳が切なげに揺れた気がした。
だが、自分で言うのもなんだが・・・俺の言葉に一松が表情を歪めるのはいつものことなので、気にならなかった。
ナス子のことを好きな一松が、真剣に考えてくれてこう言うのだから間違いはないだろう。
LOVEとLIKEの違いが、ハッキリわかっているのだから。
フッ・・・モヤモヤを抱え込んだままの俺なんて俺らしくない・・
俺はいつでもクールなギルトガイでいなくてはならない・・・
ミステリアスな雰囲気を纏った俺もそれはそれで素敵だとは思う。思うが、やはり男はどんな時でも自信を持って胸を張っていなければなぁ・・・!
「はぁっ、スッキリしたら何だか喉が渇いたな・・・炭酸でも買ってくるか。フッ、一松・・・お礼にご馳走するぜ?何がいい?」
「・・・・・・・・・・・・・水」
「え?み、水?水でいいのか?別にジュースとかでもいいんだぞ・・・なんならビールでも」
「水でいい」
「フッ、そうか・・・わかった・・・ならば最上級の最高級の」
「自販機の水でいいから。5分以内に持ってこなかったら殺す」
「いってきま━━━━━━━━━す!!!」
「・・・・・・・悪いね、カラ松・・・」
部屋を飛び出した俺は、一松が最後に呟いた言葉は聞こえなかった。
当然その言葉の真意にも気付くことはなく・・・。
胸にはまだ、小さなしこりが残っている気がしないでもないが、いずれ消えてなくなるだろう。
そうなることを願って。