第39章 たまにはご奉仕 一松side
肩に差し掛かると、待ってましたと言うばかりに明るい声が返ってくる。
どんだけ嬉しいんだよ、それだけ他のヤツに体触らせてないって事だろうと思うけど。
「はぁ~~~~~、眠くなってくるよね、誰かにマッサージしてもらってるとさ」
肩を揉みながら俺が作業に夢中になっていると少し眠たげなナス子の声に変わる。
わかるけどね、俺もさっき寝ちゃった訳だし。
「一松ってさ~、六つ子の中で一番マイペースとか思ってたけど、実は兄弟の中でも一番気が効くし優しいんじゃない?カラ松とはまた違う意味で」
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・・・・・・はあぁぁぁぁ?!マママ、マイペース?!!マイペースゥ?!
この俺が?!!
しかもアイツらの中で一番マイペースに見られてたとか凄ぇ心外なんだけど・・・?!
だってアイツらは夜中の二時を過ぎても誰にも気を遣わずに、電気すらも消すことなく、ダラダラダラダラと相手の事なんておかまいなしに自分の好きな事をただただ実行するような奴らだよ?
それならまだ俺の方が普通でしょ!
人に気を使えるし、今だって俺どんだけ我慢してると思ってんだっ!!
アイツらに比べれば全然マシじゃない?
そんな俺にマイペースと言うのか・・・コイツは?!
前に兄弟達の間でもそう言われた事があるけど、まさかのコイツまでそう思ってた事に愕然とした。
でもさっきの言葉、改めて言われるとむず痒い。
だって一番って言ったよね?俺だけの特別な場所な訳だし。
「あははは、ごめんごめんちょっと言いすぎたかね?」
「俺が一番とかありえないでしょ、本当は他のヤツらにだって一番をつけてるんじゃないの?」
「ん~・・・思う時もあるけど一松相手だとなーんか安心するんだよねぇ」
ちょっと待て、何を小悪魔的な発言をサラリと述べる訳こいつ?!
どうせアレだ、期待させておいて後から落としてくるやつだ。
一番ってある意味『特別』だろ?
それなのに他の兄弟にも違う一番があったって事だよな?
こいつの思考って一体どうなってんの・・・。