第39章 たまにはご奉仕 一松side
「聞いてる〜?なんかねぇ、一松は自分に少し似てる気がしてさ、それでより安心するのかも」
「はぁ?俺はお前みたいにそこまで馬鹿じゃないんだけど?」
俺のセリフにムっとしたようなナス子が足をバタつかせる。
そんで俺のケツを足でバシバシと叩いている・・・。
「そういう事じゃなくって、自分に自信ない所とかつい人に気を使っちゃう所とかだよ!さすがに人前でうんこはしないけどね、私は!!」
「そんな事言っちゃってさ、後悔するよ?馬鹿でクソでどうしようもないニートで童貞の俺なんかに似てるって言われて、あまり嬉しいと思う人いないよね・・・俺だったら死にたくなる」
けど俺も実は、ナス子の思考は日頃少し似てるような事を感じていたのも事実だ。
自分に自信がなくて周りを伺ってしまうような・・・
あまりにネガティブだし自分下げが酷い女・・・。
俺なんかに比べればそんな事全くないんだけどねぇ。
周りには明るく勤めてる訳だし常に笑顔はかかさないしさ。
やっぱり気分じゃないし口には出してやらないけど。
「またそうやって一松は素直じゃない事を言うー、私はどんな一松でも好きですよ?」
はっ、気軽にそういう事言わないでくれないかな、勘違いされても知らないよ俺は。
あ、勘違いするのは俺か━━━━。
けどここはちょっと一言いってやろう、コイツの為でもある訳だし。
「お前さ、すぐ人に好きとか言っちゃうのやめた方がいいんじゃないの・・・?俺ら相手ならまだしもどうせ他の人間にも自分が好感を持つ人間にはサラリと言ってのけてるよね。
それが男でも女でもさ。そういうのって相手がどう思うかわかんないし、自分から危険を作ってるようなものなんじゃないの?」
「え、そう、かな?でも好きだったら好きって言いたくない?」
その思考だけは理解できない。
俺は猫好きだけど、猫に向かって好きって直接言った事ないし・・・。
ましてや惚れてる相手にさえ自分の気持ちすら伝えようと思わない。
たまにあまりに無頓着な時は腹が立って言ってしまおうかと思う時もあるけどさぁ、それやったら絶対に逃げるだろうしね、こいつの場合は。
人を愛する事が好きなナス子は、人に愛される事に慣れてない。
あ~あ、こいつも面倒臭い性格に生まれたもんだ。