第39章 たまにはご奉仕 一松side
「あ、一松!!ミケ子に会いに来てくれたの?私もミケ子連れてそっち行こうかなって思ってたんだよねぇ」
思ってたより歓迎された。
一緒にミケ子も出てくると、俺の足に擦り寄ってくる・・・。
「ミケ子、久しぶり」
ミケ子を抱き上げて頭を撫でてやると、気持ちよさそうに喉を鳴らして自分の頭を擦りつけてくる。
は~~~~、癒される。
「一松さーん、私には何もないんすか?!」
「あ、ごめん忘れてた」
「えぇ?!ちょっと、ミケ子に会いたかった気持ちはわかるけどもここ私の家でもあるんですけどぉ?」
口を尖らせて頬を膨らませるナス子は全く可愛くない。
可愛くないけど可愛い、俺今矛盾してる事言ってる?
・・・別に世の中って、矛盾だらけなんだしいいよね。
「ナス子の家だけどミケ子の家でもあるでしょ?それとも先にお前も頭撫でたり抱っこされたりしたかったの・・・?ヒヒッ・・・欲しがりだねナス子」
「誤解を招くような言い方やめてもらえますかねえ?ナデナデとか抱っことか別にいらないし!!」
そうだろうね、俺みたいなヤツにそんな事されたって嬉しくないよね普通。
その前に俺とナス子はそういう関係じゃないしそういう事する事態がおかしいか・・・俺何考えてんだよ。
「一松、いちまぁーつ!」
「・・・あ、なに?」
「いや、急に黙っちゃったからどうしたのかと」
目をキョトンとして俺の顔の前で手をヒラヒラさせるナス子。
そういう仕草されるとしたくなるよね、キスとか。
「別に何でもないよ、それより入っていい?」
「え?普通に入ってくるのかと思った!一松が自分からそんな事言うなんて珍しいねぇ!!てかスペアキーは?」
話しながら部屋に上がってく。
若干久しぶりの家。
久しぶりだから散らかってるかと思ったら、思ったより散らかってない。
こいつにしては珍しいよね、なにか心情の変化でもあったとか?
ああ、そうだ・・・。
ナス子はあのクソ長男にスペアキー盗られっぱなしだったって知らないんだっけ?