第5章 平穏な日々に嵐はやってくる~十四松
「ふふん、可愛いでしょー」
「うん! メッチャ可愛いね! ネーミングセンスはクッソダサイけど!」
「アンタまでそれを言うか!!」
ミケ子だって可愛いじゃん!わかりやすいし!
腕の中で静かにしていたミケ子がミャ~と小さく鳴くと私の手にスリスリと頬を寄せてきた。
「名前呼ばれると嬉しそうにするね~~この子はこんなクソダサイ名前でも気に入ってるんだぁ」
また言った!クソダサイって2回も言ったよコイツ!
悪気がないのか、ニコニコして子猫を覗きこむ十四松の表情は、まさしく無邪気だ。
悪気があれば何を言ってもいいってわけじゃないんだからね!
「天使のような笑顔で私のネーミングセンスをディスるのはやめてもらえるかなぁぁぁ~~?」
ぎりぎりと十四松の頬を引っ張りながらこちらも負けじと笑顔を作る。
でも多分目は笑ってないと思う。
「いひゃいいひゃいよねえはん~~」
「十四松ほっぺやわらかっ! めっちゃ伸びる!むにむにしていたい!」
「ボク体めっちゃやわらかいよ!」
十四松がまともに喋れる程度にほっぺをむにむにし続けている私。
いかん・・・やめられない止まらない・・・。
成人男性のほっぺをむにむにしているはずなのに、まるで赤ちゃんのほっぺをむにむにしているかのような感触・・・。
「どう見ても成人男性の肌触りじゃないんだけど・・・もっちもちだし、シミもシワもないし・・・」
「いでえででででねえさーーーーーーーーーーーん!」
若さへの妬みで思わずまた力が入ってしまった、十四松の頬がみにょ~んってなっている。みにょ~んって。
十四松が手をバタバタさせて慌てているのにも気づき、はっと我にかえり手を離した。
「あ、ごめんごめん。 つい! てへぺろ!」
「はぁ~~痛かったぁ~~」
「ごめんって、よぉし、なでなでしてやろう」
自分でやって自分で手当てする。
いや、おかしいだろ!と思うが十四松が気持ちよさ気にしているのでまぁいいか。