第5章 平穏な日々に嵐はやってくる~十四松
渾身のクソ顔でキメポーズを決めたカラ松。
「なぁんで溜めた!! つーか間長すぎだし尺使うっていうか改行使う!!! 自己紹介相手寝てるからね?!」
こちらも負けじと渾身のツッコミをするが、どうしよう、とってもとってもアバラが痛い。
あ、これ折れてね?
あ~これは折れてるわ~3本ほど折れてるわ~~~
「寝ている相手をも魅了してしまう・・・・・・・・・・・オレ・・・! なんというギルトガイ・・・!」
メキバキボギィッ
あ、もう2,3本逝った。
肋骨全部で24本あるからね、まだ耐えれる・・・
「これは終わりなき試練・・・やがてオレは立ち上がることもできず、ただ迫り来る終わりの時を・・・・・ナス子?・・・おい、ナス子! ハッ・・・・・・・・し・・・・死んでる・・・・・」
死因:クソ松
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そして今に至る、というわけだ。
なんだかんだで、スペアキー取られちゃった事を申し訳なく思ってるみたいだし、どことなく残念そうにしていたように見えたのは気のせいかもしれないけど。
「カラ松の好きなから揚げじゃないけど、ケンダッキーだって揚げ鶏だもんね。これでも食べて、気分直してくれるといいけど」
松野家の人数×2のケンダッキーはさすがに少し重い。
カラ松だけに買っていくわけにもいかないしね。
一人一個でもよかったかな・・・いやでもやっぱ一個じゃ物足りないもんねぇ。
「軽い運動だと思って、頑張るか~・・・ん?」
橋の下に差し掛かろうかという時、河原のほうから一際元気の良い声が聞こえてきた。
とても聞き覚えのある、この声は・・・。
体の方向を変え、下方向の河原を見下ろすと、そこには黄色い野球ユニフォームを着て一心不乱に素振りをする男の姿。
「やっぱり、十四松だ」
一際大きくバッドを振ると、カキーンと小気味良い音を立ててボールは遥か彼方へと飛んでいってしまった。