第1章 平穏な日々に嵐はやってくる~おそ松~
「あ? おい」
再び布団にもぐりおそ松に背を向け、
早く目を覚まして悪夢が終わってくれるよう祈りながら固く目をつむった
「なんだよ、まだ眠いのかよ? 遊びに来てやったんだから茶でも出すのが礼儀ってもんだろぉ」
「ぐぇっ、おもっ」
寝ている横向き体制にのしかかられてカエルが潰れたような声を出してしまった。
いやカエルが潰れた音聞いたことはないんですけど。
とにかく、乙女にあるまじき声をあげてしまった。
「夢じゃ、ない・・・だと?」
「あーあーあー、まぁそう言うとは思ってたけどなぁ。実はこの前遊びに来た時にさっ、そこの棚に鍵が落ちてたからもらったんだよね、へへーん」
「落ちてないし! 仕舞いっ放しにしてただけだし!」
得意げに言うことじゃないが、とりあえず瞬時におそ松をどかし、家のスペアキーを仕舞っていたと思われるリビングの棚にダッシュした。
どかした時に「あべしっ」とか聞こえたけどそんなんどうでもいい。
棚の引き出しを勢いよく開け中を確認する。
スペアキーはここのはずだ!あるはずだ!!
「だがない!」
「あ、そっちじゃなくてあっちの棚」
おそ松が指差す方向の棚に飛びつき引き出しという引き出しを引き出し中を確認する。
さぁ今の台詞をかまずに読めたかな?いやそんな場合ではない。
「んー、あ! 違った。そこの隣の…」
人をおちょくるように次々棚を指さしまたニヤニヤ。
私は言われた棚の中を行ったり来たり。
てか棚ありすぎじゃね?この家。自分の家ながら。
「ほらぁ、どうせ場所も忘れてたんだし、使ってなかったし、これからも使わないだろ?
勿体ねぇし、そんなら俺たちが有効活用してやろうって事で…」
「スペアキーは普段使わないからスペアキーなんだよ! 忘れることもあるわ!寧ろスペアキーはなんかあった時の予備用だから! この盗っ人野郎め!」
「えー、なに? 逆切れ? お兄ちゃんコワーイ」
「コワイのはこちらですが~~~?! 何で人様の家のスペアキーを勝手に持ち出し、しかもそれをなんの迷いもなく当たり前のように使用しているのかお姉さんは問いたいっ! 全力で問い詰めたいっ、小一時間ほど! いや問い詰めるだけで済む問題でもないけどね!? あー私今これよく息続いたわ~~噛まずに言えたわ~~~」