第37章 危険な香りの温泉旅行 本日最終日
部屋に戻りナス子が最後にもう一度温泉に浸かりたいと言うと、全員が賛同する。
「あと入ってないお風呂は、貸し切り風呂だけかぁ~」
着替えを持ちながら風呂コンプを目指していたナス子が少し考えて独り言を言うと。
急に後ろから伸し掛かられた重さに横を見る。
背中に伸し掛かったおそ松の顎が肩に乗っかっていた。
「おわ、ビックリしたぁ!何?!」
「貸し切り風呂だってぇ?俺と一緒に入っちゃう?!行っちゃう??二人っきりでしっぽりとしちゃう~?なぁなぁなぁー」
「入らないししっぽりともしないし、あんたこそ一人貸し切り風呂で寂しくシコってでもくればぁ?いや、温泉でそんな事されたらもう出禁だけどね!」
ああ、またやってしまった……とばかりにナス子は項垂れて自分の顔を押えた。
口を開くとついつい口が悪くなり、下ネタまでも軽く言ってしまう。
なんだかんだ言いつつ六つ子を馬鹿に出来ないとナス子は自分の下品さに落ち込んだ。
「あれ?じゃあ姉さん混浴風呂は入ったの?後入ってないのは……って言ったよね??」
「ん?…………………………」
トド松に質問されると、おそ松と言うセクハラの申し子の背後霊を背負ったまま十四松の方を向いてしまう。
「姉さん?ナニナニ、どうしたのー!」
「混浴は一人で入りました。誰もいない時に」
十四松の反応に安心し、サラリと6人に嘘をつく。
「え~、一人で混浴?混浴って普通さ、誰かと入るからいいんじゃないの?別に姉さんのお色気ムンムン入浴(笑)なんて僕は見たい訳じゃないけどぉ、一人で入るのはないわ~、悲しい~、寂しいわぁ~、可哀想ってなってくるよね。ホント」
「まぁそういう時の為に、独り身の寂しい人が人との団らんを求めて来たり、カップルや出会いを求めた人達が集まって入りにくるとか……そんなもんじゃない?」
今度はチョロ松まで参加して、口々に寂しい女とアピールされているようで心底腹が経つ。
寧ろ他の誰かが入っていたら、人見知りで男性不信のナス子は混浴なぞには入れない。
では何故入ったか?話の種に入ってみたかったからだ。
そこを狙ってわざわざ入ったのにこの言い様である。