第36章 危険な香りの温泉旅行 今夜は最高?
「ね、ねえ……みんな、そろそろ寝ない?」
沈黙をチョロ松が破る。
全員が押し黙ったまま、コクリと頷いた。
「ナス子姉!僕を怖がらせて遊んだんだから今日一緒に寝てよぉ、僕ほんっっとに怖くて寝れないんだけど?!」
「諦なよトド松……今日は俺たちの番って決まってたでしょ?」
「ん?番???」
「そうそう、ナス子の隣で寝るのを交代で決めたんだよ。中々一緒に旅行なんてこれないからね」
一松とチョロ松が続く。
怖がりのトド松はまだ震えてはいるが、兄たちの意見に従うしかなく、隣で眠る十四松の腕に巻き付く事にしたらしい。
「あははー、トッティあったかぁい」
「十四松兄さん、絶対今日は布団から出ないでよ?!」
「えー、トイレは?!」
「そしたらぼくも行くから!!!」
「ん~わかった!」
そして各自、自分の布団へと溜息をつきながら戻って行く。
ナス子は旅館・職場の話などを思い出すと少し怖い気持ちもあるが、いつも怖いもの見たさが先に出てしまう為、一松を除き他の松達よりは恐怖していないだろう。
「あ~やっと解放された、なんなのこの時間!なんっも楽しくねーし!!普通今日は寝かさないとか言われたら違う事想像するよな、なあカラ松?!」
おそ松が自分の布団に乱暴に横になり布団を被ると天井を見ながらもカラ松に言葉をかける。
「そうだな、若干期待をしてしまう言い分だったが……ナス子が楽しそうならいいじゃないかおそ松」
「そう?あいつただ俺らを怖がらせようと調子乗ってるだけだろぉ?…………ん?」
おそ松が納得のいかない表情を崩さないまま文句を続けているが、ふいに足に何か生暖かいものが絡み不思議に思う。
「なあ、カラ松」
「ふぁ……ん~?なんだおそ松」
「お前兄弟同士でこういうスキンシップすんのやめてくんない?!気持ち悪ぃんだけど?!!」
「ん~~~~?何の事だ?」
カラ松が眠そうに目を擦り、長男の不思議な発言に答えると、おそ松は何故か憤慨している。