第36章 危険な香りの温泉旅行 今夜は最高?
「そうだね~、これフォルダ分けるの大変だわぁ。でも楽しかったよね!」
いつの間にそんなに写真を撮っていたのだろうかと言うくらいの量をフォルダ分けしながら、トド松はニンマリと笑った。
「俺らもこういう機会がないとこんな所に普段これないし、たまにはいいよね……こういうのも」
一松もつられて少し嬉しそうに口端を上げる。
「ああ、そうだな。こうやって姉、兄弟水入らずで来る旅行はやはりハッピーだったぜぇ、俺たちの仲もより深まっただろうな……フフーン」
「はい、電気消すよー」
「えっ」
ナス子が言うと部屋の電気を消し、豆電にする。
すると早速豆電反対派が声を上げる。
「ダメだよ、ボク豆球は気になっちゃうから!」
「俺もだ、豆球イズ トゥ~バ~ット」
「あ、そっか忘れてた。私はどっちでもいいしね。じゃあ全部消すよー」
部屋の明かりを消すと、真っ暗な闇が広がり各々がやっている作業や動作の音を聞き想像しながらまだ暗がりになれない目を天井に向けると、ナス子はスマホを持ち、突然オレンジ色のランプを付けた。
「姉さん、僕明るいのは寝れないよー?!」
「そうだぞ、豆球だけでなく静寂と暗黒の世界でないと俺は」
十四松とカラ松がまた反対してるがそんなナス子は知らん顔で起き上がり、スマホを皆との布団の真ん中に置いた。
少し明るく照らされた部屋でボヤリと他の兄弟達の顔が見える。
皆が、中心に座り込んだナス子を見る。
「何してんのナス子?急に座り込んでライトなんかつけてさ、さすがに気になるんだけど」
ナス子の急な不審な行動を不思議に思ったチョロ松が、呆れた目でナス子を見るも、ナス子はオレンジ色に照らされた顔でニヤリと笑う。
「━━━━皆、起きて!」
「……は?起きる?なんで?寝ないの?」
早速一番に眠りにつこうとしていた一松もナス子の言葉を聞き反論して見上げる。
「今夜は寝かさない━━━━━━━誰一人として……」