第34章 【番外編】危険な香りの温泉旅行 ラッキー兄松
「ア゛━━━━━!!!やっぱ絶っ対ヤだ!!賭けはなし!!なしなし!!なかったことにする!!俺がそう言ったらそうなる!!」
突然叫び出すと勢いよくナス子の左足に巻きつき、どさくさに紛れて浴衣の合わせから手を中に入れて太ももを直接撫で回す。
「ぎゃっ!!ちょっと!!足に巻きつくな!!太ももを撫でるなー!!」
「ゴルァ!!クソ長男ゴルァ!!!」
「往生際が悪いぞおそ松!!!」
ぎゅっとナス子の足に巻きつくおそ松を三人は各々必死に引き離そうとするが、なかなか剥がれない。
だが所詮3対1。
ナス子には頭を押され、後ろからはカラ松とチョロ松に身体を引っ張られ、必死の抵抗を見せていたおそ松だがついに力尽き、ナス子の足から引っ剥がされる。
その時、最後の抵抗を見せようとしたおそ松が、目の前にあった物を無意識に掴む。
おそ松を後ろから引っ張っていたカラ松とチョロ松は、おそ松が剥がれた勢いで、そのまま三人で後ろに倒れこみ、見事に全員後頭部を床に強打した。
あまりに勢いよく倒れこんだので思わず心配になったナス子は三人の元まで駆け寄り立ち膝をついて、心配そうにそれぞれの顔を見下ろす。
「ちょっ、大丈夫?!メッチャ頭打ってたけど!」
「いってて……ったくしょうがねぇなこのクソ底辺長男は……ナス子、大丈夫?何処か触られ…………」
「いって━━━━……お前ら本気で引っ張るなよ!俺が…………ん?」
「床が畳でよかった……ナス子、大丈夫か?ホン…………」
チョロ松とカラ松が、目の前で自分達を立ち膝で見下ろすナス子にそう声を掛けてそちらを見ると、フリーズする。
おそ松だけは自分の手に握られた物を見ると、少し遅れてナス子のほうを見やる。