第34章 【番外編】危険な香りの温泉旅行 ラッキー兄松
少しの間の後、三人もこちらにやってくると、各々自由なことをし始める……ことはなく、カラ松が突然ナス子のスマホを取り上げる。
「え?ちょ、ちょっとカラ松!なにすんの!?」
「どうせゲーム、だろ~ぉ?そんなことより大事な話……もとい、ナス子に聞きたいことがあるんだが」
「? なに?」
ゲームの邪魔をされ若干不機嫌顔のナス子が尋ねると、三人が目の前に並び何故かポーズを決める。
一体何が始まるのだと顔を顰めるナス子。
「フッ、ナス子!今の俺達、何かおかしなところはないかぁ?!」
いつものサングラスを人差し指でくいっと押さえ、恐らく自分ではカッコいいと思っているのだろうポーズを決めるカラ松。
その横では、左手を腰にあて、右手人差し指で鼻の下をこするお決まりの仕草をするおそ松が。
さらにその横では、何故か両手で股間を押さえ内股のチョロ松が。
一番左のカラ松から順に視線を右へ右へとズラし、元の場所に戻ってくると、一言。
「?……別にないけど?」
ナス子が、多少訝しげに、しかしサラリとそう言うと、三人の表情がピシリと固まる。
「なに、なんなの?てかカラ松、私のスマホ返してよっ」
スマホを取り返そうとカラ松に手を伸ばすが、すいっといとも簡単に避けられてしまう。
そして、はぁと短く溜め息をつくカラ松に、ナス子もイラつき始める。
ナス子がまたもスマホに手を伸ばすと、それを避けられ、避けられた場所にナス子がまた手を伸ばし……それの繰り返しである。
最終的には頭上高くまで手を上げられてしまい、身長差によりどうしてもそこには届かない。