第33章 危険な香りの温泉旅行 王道パターン発動
「いつも言ってるだろ?計画性は大事だって。それはこういう旅行だけじゃなくて、近くに買い物に行く時とか、荷物の整理とか、普段の生活全てに言える事でもあるからね?それと間違えないで欲しいのは、僕はお前の事を嫌って言ってる訳じゃなくて、心配してるから言ってるわけ。じゃないとナス子の周りからの視線も変わらず、ダメでグータラでズボラで女らしさの欠片もない、頭の悪い無計画なダメ女って思われちゃうだろうし、このままじゃお前自身の未来だってどうなるかわかったもんじゃないんだよ?ねぇ、僕の言ってること理解できる?」
言いたい事を全て言ったんじゃないだろうかという勢いで捲くし立てるチョロ松。
恐らく最後までちゃんと読んでいる人はいないだろう。
正直ナス子も前半の二行くらいしか聞いていなかったが、らしすぎるチョロ松に、ナス子は逆に胸を撫でおろす。
「ふはっ……ははは……」
「はー?!何笑ってる訳?いい?!今僕はお前の為を思って……」
「ホンット、いっつも煩いなぁチョロ松は!あははは」
部屋に戻った時の張り詰めた空気に、昨夜の事を何か掘り返されるのかと慌ててしまった。
なんとか平常心でいこうと持ち直した心も、まだ完全には拭えない感情が邪魔していて気がきではなかった。
自分にとって幼馴染、弟、親友であるチョロ松がいつものチョロ松に戻ったと思うとやはりナス子は安心して笑顔になれる。
「煩いとは心外だな、もう一回言ってやろうか?」
「いえ、結構です」
「じゃあほら、片づけて!」
「へーい」
ナス子が安心した途端、面倒そうに返事をしながら立ち上がると、何故か一緒にカラ松まで立ち上がる。