第33章 危険な香りの温泉旅行 王道パターン発動
「一人で出来るか、ナス子」
「ちょっと?!人を子供扱いしないでもらえるかな」
「カラ松兄さんが言うのも仕方ないよねぇ~ナス子姉のマンションってすっごい散らかってるしぃ」
「……最近はまあまあ綺麗にしてるみたいだけどね」
「えぇ?!あのナス子が?あのナス子だよぉ?そんな自分で部屋片づけたり物仕舞ったり捨てたり洗濯したりとか出来る訳ないだろー??」
「……フフン、きっとその家にはブルーフェアリーが出るのだろう、なんせブルーフェアリーはシンデレラに魔法をかけた人物だからなっ」
「シンデレラって狼が出てくるやつだよねぇ」
「違うよ十四松兄さん、シンデレラはガラスの靴とかカボチャの馬車とか出てくるやつだよ、でもナス子姉がシンデレラって……ないわぁ~」
「3匹の子豚は?!」
黙って会話を聞いていれば、聞けば聞くほど普段通りの六つ子だった。
十四松の事も意識していたハズだが、ナス子は他の兄弟やチョロ松に説教された事によって調子が完全に戻ってきた。
十四松はほら、十四松だし、そういうジャンルだ。
昨日のだってきっと皆のテンションに流されただけに違いないと考えに至った。
「十四松君?私が豚だとでも言いたいのかなぁ?んー?」
ナス子が十四松をわざとらしく睨むとニパっと笑顔が返ってくる。
「豚も可愛いよ、姉さん」
「おい、十四松ーー!お前それフォローしてないからなコノヤロー!!てかさ、聞いてると皆酷くない?!私だってちゃんと女らしい所くらいあるんだけど!?」
「「「「「「どこが?」」」」」」
「……ホントムカつくわ~」
言葉とは裏腹に、ゲラゲラと笑う六つ子につられ、ナス子は笑っていた。
仕方なく立ち上がると散らかった荷物の前に座り、面倒臭がりながらも言われた通り、自分の荷物を片付けていくのであった。
うん、ちゃんと整理整頓。