第33章 危険な香りの温泉旅行 王道パターン発動
「僕が言いたい事わかる?わかるよねぇ?」
「わかりません、チョロ松先生」
「そう、わからないか……なら仕方ないね。って仕方なくないからっ」
チョロ松は一瞬フゥと溜息をついた後、覚悟を決めたような表情を作りナス子に伝えなければならない事を伝えた。
「荷物が汚い」
「はい?」
「って言うか、出てるよね」
「出てる?」
言われてナス子が自分の荷物を見ると、確かに荷物はバックの周りに散乱していて開いたバックの中身も丸見えになっている。
だが、何を怒られているのかナス子は理解できない。
「汚いと言うか、グチャグチャなんだよあの一角だけ」
「うん?」
未だ言われている意味がわからずコクリと目の前の人物に頷いて見せるもやはり何を言いたいかわからない。
とにかく汚いから片付けろと言っているのだろうか、とそんなことを思っていると、
「見えてるんだよ、パンツと!ブラジャーが!」
「…………ハッ!!!」
ナス子はチョロ松にやっと真相?を打ち明けられると自分の荷物が置いてある一角に視線を移す。
脱ぎっぱなしの私服がバックの周りに散乱し、無造作に入れられた下着は開いた口から丸見えだ。
「お前のやっている事はもうあれだよ…………童貞ハラスメント」
「ど、童貞ハラスメント……?!」
「略してチェリハラ」
「チェリハラ?!」
「チェリーハラスメントね?ハラスメントの意味わかってる?嫌がらせだよ。童貞を困らせるような嫌がらせ!」
なるほど、だからチョロ松は怒っているのかと納得する。
何故ならチョロ松はライジングキャラ。
以前ナス子の下着を見てしまった時も軽く暴走していた。
だからこそ今また、この場で説教をしてきたのだろう。
確かに男性のいる部屋で自分の荷物を整理せず、下着まで見えるようになっていれば注意されても仕方ない。