第33章 危険な香りの温泉旅行 王道パターン発動
「どうして、俺達とは別の場所で、一人で寝ていたんだ?」
「━━━━━━え?……あ、ああ……そのことか……」
「?何だと思ったんだ?」
「いやいやいやいやア~ハ~ン?何でもないぜブラザー!」
「ど、どうしたんだナス子……いつもと様子が違うぞ」
「なななななな何を言うんだブラザー!アーイムナス子アーハーン?Oh,ビュ~ティ~コンセンツ……アイラブコンセーンツ……!!」
突如始まったナス子事変に、カラ松は訳がわからず頭上にはてなマークをいくつも浮かべている。
予想していた質問がこなかった事にナス子は安堵したが、返事を間違えれば昨晩の事をポロリと言ってしまいそうな自分がまったく信用出来ない。
ここはまず自分を落ち着かせ、カラ松の質問に不自然や嘘がないように答え、且つ、昨晩の事は絶対に1ミリも口に出してはならない……
これはそういうミッションである。
「あー……えっと━━━━━━……暑苦しくて!」
「暑苦しい……?昨晩は、結構冷えていたと思うんだが……」
「じゃあえっとえっと━━━━━━」
「じゃあって……。………………ナス子」
「へ?」
ふいに、カラ松の声のトーンが下がった。
いつもより低めの声で名前を呼ばれ、ドキリと身体を強張らせる。
機械の揺れに身体は動いているが、今は何も感じない。
カラ松は自分が座っていたマッサージチェアーから降りると、ナス子の前に立ち見下ろす。
今日はよく見下ろされる日だ・・・と、そんなどうでもいい事が頭を掠めたナス子だが、次のカラ松の口から出た言葉に、身体の体温が一気に5度くらい下がったような気がした。