第33章 危険な香りの温泉旅行 王道パターン発動
「え、そうだったの?ゴメン、誤解させちゃったみたいだけど、ナスとは本当にただの同級生で、好きとかそういう感情はまったくないよ。だから安心して」
「……は?」
「彼女が急に現れた自分の知らない男と親しげに話したら気になるよな、ホントごめん。でも、さっきも旅館の中で手を繋いで歩いてたし、今もここに二人でいるんだから、ラブラブじゃないか」
「う、うんうんうん!そーそーそー!私達ラブラブ!とってもラブラブなんだよねぇ!あ、あれー?!なんだか急に二人っきりになりたくなっちゃったなぁ!そろそろ部屋に戻ろうかー!戻ってイチャイチャしましょうそうしましょう?!」
「…………………………ああ、そうしよう……」
間が長い。
間が長いよいちまっちゃん!
という心の声をぐっと口に出すのを堪え、然らばゴメン!と一松の腕を引っ張りその場を後にする二人。
残された同級生と一匹は、ポカンと二人が消えた方向を見つめていた。
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