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【おそ松さん】松野家と年上幼馴染(R18)

第33章 危険な香りの温泉旅行 王道パターン発動


 
 部屋に戻ると、出た時と変わらない光景が目の前に広がっていた。
 皆が皆、部屋でゴロゴロぐだぐだ……旅行に来てもやっていることは普段と変わらない。

 空いている場所に適当に座りスマホを取り出すが、何もする気が起きず、ホーム画面を何をするでもなく見ていると、ふいに影が差し、ひょいとスマホを取り上げられる。

「あ、ちょっと一松……何するの、返して」

「何も見てないじゃん。ゲーム……やらないなら、一緒に来る?」

 今部屋に戻ってきたばかりなのだが、脈絡のない会話に思わず聞き返す。
 一松の顔を見ると、何だか少し嬉しそうだ。

「猫のとこ……」

「猫?猫がいるの?どこ?」

 ナス子にスマホを返しつつ、一松が窓の外のドシャ振りの雨を恨めしそうに見やる。

「昨日、十四松が外で見つけた野良猫なんだけど、どうやらここの旅館の周りを縄張りにしてるみたいなんだよね。この雨だし……見つかるかわかんないけど、行ってみる?」

「うん、行く!案内して、一松っ」

 猫好き二人は、ペタペタと部屋を出て行く。
 他の兄弟は誘っても来ないだろうと思ったし、来たいなら誘わずとも着いてくるはずなので、声はかけなかった。

 そして当然のように、誰もついてくる事はなかった。
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