第33章 危険な香りの温泉旅行 王道パターン発動
その後、皆で朝食をとりながらナス子は無言で兄弟達の会話を聞いていた。
会話の内容から察するに、やはり昨日のセクハラ以上の行為が行われた事は、全員何一つ覚えていないようだ
六つ子達のことが気になってあまり食が進まず、目の前の皿に盛られたスクランブルエッグをフォークでつくつくと突つきながら、考える。
昨晩の事は誰も覚えておらず、記憶しているのは自分だけ。
釈然としない所があるのは確かだが、掘り返すと余計面倒なことになりかねないし、掘り返すとしても、自分の口から全て説明するのは絶対に御免だ。
そこから導き出される結論は一つ。
昨晩の事は自分の内に秘め、六つ子とは今まで通りに接すること。
それしかなかった。
ナス子がそう決意してちゃんと朝食をとり始めると、今日はどうしようか、という話の流れになる。
二日酔いがヒドイ者もおり、今日はこの後天気も崩れるらしいということで、一日旅館でゴロゴロするかという事になった。