第4章 平穏な日々に嵐はやってくる~一松~
「べ、べべべべ別に俺はお前の事なんてこれっぽっちも好きじゃないし。あ、でも幼馴染としては嫌いじゃないっていうか・・・どちらかと言えば好きな方・・・な、ような気もするけど、そういうのって口に出してわざわざ相手に伝える必要ある? ないよねぇ、姉弟のような関係って言ってる相手なら尚更そうだよね、言わなくてもわかるでしょ、やめてくれる? こういうの・・・ああ、ホントこういうのキャラじゃない・・・ダメだ、死のう死んでしまおう」
「生きろ」
素直じゃないけど言いたい事は伝わるのでヨシとする。
とりあえず恋愛感情はお互いないんだし、オールオッケーだ。
「ちゃんと二人共用で使ってくれるならもっと高級な猫缶用意してあげてもいいんだけどなぁ~」
「ま、まままじか!」
「高級マタタビとかも買ってあげてもいいよ」
「か、神か! 神なのか?!!!」
私の提案に目を見開きゴクリと唾を飲み込む。
よし、揺れてる揺れてる。
「・・・・・・━━━━━━━━━━━━わかった」
長すぎる沈黙が流れた後、カラ松と一緒に、という葛藤が自分の中にあるため一生懸命心の中で戦ったが、最終的には折れてくれた。
「よしっ、じゃぁ今日から二人は『特別』だね!」
「だから一緒にされるのは嫌なんだけど」
お腹いっぱいなったミケ子は満足そうにゲップをするとまた一松の体に上りだした。
「本当は飼ってあげたいくらいなんだけどね・・・仕事で家を空ける時間が長いから相手もしてあげられないし逆に可哀想だからなぁ」
ミケ子を見てると母性本能というやつが芽生えてくる。
独身女性にはたまらない可愛さだ。いやこの可愛さは世界共通だな・・猫は世界を救うな・・・
「あれ? でもミケ子の親はいないの??」
「あぁ、こいつ河原の段ボールの中に一匹だけで捨てられてたから・・・」
「・・・・・・・~~~~~~~~~っ」
ミケ子の境遇を思うと胸が熱くなる。
もの凄くお世話してあげたい!でもお世話してあげられない…っ
自分がちっぽけな人間に見えてくるよ!よし、死のう。・・・じゃなくて!
口に手を抑えミケ子を悲しい表情で見ていると一松が私の顔を見て何か考えている。