第4章 平穏な日々に嵐はやってくる~一松~
「……っ、な、ななななに!?」
あまりの萌要素に一松の頭をわしゃわしゃまた撫でる。
文句言いつつも頭を撫でられるのが好きな一松は抵抗しない。
「べーつーにー♪ いい弟を持ったなぁと思って」
「弟って言ってもただの幼馴染でしょ」
「でもナス子姉って呼んでくれてるじゃーん! 昔からずっと一緒にいた訳だし姉弟みたいなもんっしょ」
「・・・・・そう、好きにすれば」
あ、また機嫌よくなった。ちょっとニヤっとしてるもんね。
難しそうに見えても甘やかすと反応が堪らないんだよねぇ!
キレると怖い。ドSの時の一松も怖い。
でも機嫌のいい一松は猫みたいで萌える。
「そう言えば一松は今日はなんでウチに来たの?」
撫でる手を止め一松を覗き込むと、目を逸らされた。
なんだかモゴモゴ言っている。
「クソ松にだけ鍵を『特別に』預けたのが本当か聞きに来たのと・・・猫が腹空かせてたんだけど今日は金持ってなかったから・・・」
あー、そういう事か。もう『特別』への強調はスルーしとこう。
猫の件はよくある事だけど焼きもち?みたいなものを素直に出してくるのは珍しいな。
本当一松って性格猫みたい、独占欲って恋愛じゃなくても発揮するもんね。
カラ松だけ特別扱いされたのが本当に嫌だったんだなぁ。
「う~ん、じゃあこうしよう! 本当は皆に共同で使われるのはすっごい嫌なんだけどカラ松と一松は『特別』って事でどう?!」
さもナイス提案のように人差し指を立てて一松に詰め寄る。
持ってけドロボー!な勢いで言い切った。
「は? 俺クソ松と同等なの? ごめんなんだけど」
あぁ、やっぱりそう答えるよねぇ。なんて言えばいいのかなぁ・・・
別に私の私生活を脅かさなければ一松も使ってもいいんだけどなぁ。
「でも、カラ松にもウチに来てもらわないと困るんだもん、色々と…」
「ナス子、やっぱりクソ松の事好―」
「それはない。ていうか私は一松もカラ松も他の兄弟も皆同じくらい大好きだよ?」
「・・・へ?」
大好きという言葉だけで赤くなってしまう一松。
うん、愛い奴じゃ。苦しゅうないぞ。