第4章 平穏な日々に嵐はやってくる~一松~
「・・・飼っちゃえばいいんじゃない?」
「なんですと?! いや、飼いたいのはやまやまなんだけど私休みの日以外は家にいないし時間も帰りが深夜だから無理だよぉ、一緒にいてあげられないもん」
「そんな時のコレでしょ」
そして一松は手に持っていたままのスペアキーをプラプラさせる。
「え」
「だから、ナス子がいない時は俺が傍にいればいいんじゃない?」
「と、いう事は?」
ミケ子は心配だがその提案、嫌な予感しかしない。
「だって俺は『特別』、なんでしょ?」
ニヤリと悪い顔で笑うと鍵をまたプラプラさせて言葉を続ける。
「ナス子姉さんがいない間は俺が責任持ってミケ子の面倒を見るよ。この家で・・・」
ニヤついた顔のまま、まるで名案のように答える一松。
「ええええええええ、私が家にいない間に一松がここで一人で面倒見るって事?!」
「他に方法ないでしょ、俺の家も猫は野良猫くらいで飼うとかはできないし、ただでさえニート6人養ってんだからそんな余裕もないしね・・・でもこんな小さな猫を放っておくわけにもいかないと思うんだよねぇ?
それともナス子はこんなに小さくて今にも外に放りだしたら危ない目に合いそうなミケ子を部屋から追い出す気? 名前まで付けちゃってるのにねぇ・・・まさかそんなヒドイことしないよね・・・」
ポンっと肩に手を置かれる。
うっ・・・良心に訴えかけられている。
ニート6人云々の話はお前ら働け状態だが。
「決まりだね・・・・・ヒヒッ」